蒼天航路 9巻

2009年5月12日 読書
李学仁, 王欣太 講談社 モーニングKC 1997/08

皇帝の遠い子孫を自称する劉備玄徳は、徐州の主となった。悪名高き奸雄(かんゆう)・曹操孟徳は、袞州で殖産に尽力している。時同じくして、長安を脱出した漢帝国皇帝・劉協が旧都・洛陽に帰還した。誰もこれを護る者はない。中国全土を覆う大乱世は、ここに新局面を迎える!


関節を折り畳まれようが、頭突きをかまされようが、気分で不可欠な軍略を無視されようが、一生懸命呂布に尽くす陳宮に涙を禁じえません。

そのあまりの強さに味方の兵は誰もついてこず、ついてこられず、ただ一人で「わ我はひとり り呂布なりーッ」と涙をこぼしながら敵陣を突破していく呂布は何だか見ていて哀しい。曹操の下には荀彧・程昱・郭嘉と軍を経営し機能させる人材が集まり始めているだけに。このあたりが、呂布が純一戦士と呼ばれる由縁か。あくまでも“将”ではなく、“戦士”。
結局袞州には留まれず、呂布軍が向った先は徐州の劉備の下。このあたりからが劉備の流浪の人生の始まりですね。ある意味、乱世の寝業師wとも言うべき劉備の本領発揮とも言える。庇を貸して母屋を分捕られた相手にさっさと降るとか、敵の敵は味方とか、物資がなければ借りればいいし借りちゃったもん勝ちとか普通思わないでしょ!その情けなさとしぶとさ加減が劉備の魅力だ。
そんな劉備が曹操の下にやってきたことで惇兄も孟徳の保護者の本領発揮。「狩りの獲物をまだ決めておらなかった」「裁可は常にこの首で負うとる 夏侯惇は孟徳の天下へ一本道じゃあ」の顔が素敵に男前すぎる…w

袞州奪還した曹操は、許都にて流浪の身の上だった献帝を奉戴。
蒼天曹操が天子奉戴に関して言ってることは、天子とは“国家”や“朝廷”というシステムを動かすエネルギーで、曹操自身はそのシステムを合理的に動かすために設計する人って感じ…?少し戦後の天皇制のあり方と似ているのかもしれない。
とにかく人材大好き曹操さまは、人も好きだし、自分も“天”ではなく“人”でいたいのだということはわかった。
 
中原であれこれ起きてる間に、袁紹は河北で一大勢力に。
やや腐った匂いのある感想になりますが、蒼天袁紹の曹操に対する感情て「摩訶不思議なツンデレ有能美女に惚れちゃった亭主関白型の男の煩悶」に見えないこともない…。「姦雄と呼ばれなくてもよい この袁紹が漢帝国の幕をひきお前が能臣として働ける治世を早々に築いてやる」とか「オレの稼ぎで食わしてやるからお前は働かなくていい!」みたいな…曹操が自分より上の官位である大将軍に就いたを知って鼻血吹いたのも「オレより上に出世しやがって!」みたいな…卑近なことに喩え過ぎか…。
ただ出自が名門であるというだけでは、ここまでの大勢力になることはありえないわけで、そのあたりもちゃんと描かれていますね。大軍を養い、勅命にキレながらもちゃんと守らなければいけないところは守っているあたり、やっぱり曹操のライバルたりえた人だと思います。

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