菅野彰 河出書房新社 2008/12/11

ひょんなことから始まった「大人の女」修行。宿敵長州娘と日本全国西へ東へ大暴走! アイドル修行で女義太夫、女子アナ目指して紙芝居……!? 愛と笑いの勘違い旅の果て、「大人免許」はもらえるのか!?


タイトルがいいですね。「女に生まれてみたものの女であることを活用しなけりゃ意味がない」とか何とか続き文句を考えたくなります。主にこう自虐的な方向に。

この本の趣旨は、菅野さん(会津出身)に担当の村田嬢(長州出身)が、触れなば落ちん風情の女性の習いを身につけさせること。しかも一年でアイドルのような女性にするとか。しかし大人の女としてのあれこれを教えていただく先生が、第一回から団鬼六先生だった時点で、既にいわゆるアイドルとは別物だと思う。女としての経験値は鰻上りだと思いますが。
その後も海女体験とか水商売の方御用達の託児所で一日先生とか紙芝居氏に弟子入りとか、長州女と会津女の因縁の互いの故郷訪問とか、大人の女というよりも人間としての幅を広げているような…。
特に会津と長州訪問の話は、このエッセイの大半のページを割いてるだけあって、読んでるこちら側にもなかなか考えさせられることが多い。切り口や文章の所々は軽妙なのに、「戦後に擁護はありません。事実があるのみです」「理解は出来ても受け止めたくはない」「知ったつもりで、何もわかってなかった」の言葉は重い、重いよ。私が生まれ育った土地はこういった歴史的な傾斜があまりない土地のせいですかね、二つの地方の確執はあれこれ思うことはあっても実感が湧かないというのが感想です。

菅野さんがエッセイに取り上げられる家族やご親戚とのエピソードは、どれも好き。私には親戚らしい親戚や従兄弟が殆ど居ないので、大勢の従兄弟というシチュエーションにやや憧れがあるのやもしれません。お祖母さまの嫁入りと講中の話にはほろりとした。
しかしこの本の中に、海馬シリーズの初期の頃に高校生だったか大学生だった従弟さんが結婚されるという文章を読んで、年月の流れの早さをひしひしと感じましたよ。

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