陳舜臣 毎日新聞社 2004/02

天下大乱。黄天立つべし。黄巾軍の蜂起に漢朝もはや力なし、天下制覇を競う英雄豪傑たちが擡頭。上巻には「黄天立つべし」から「片思い崩れ」までを収録。74~77年文芸春秋刊を大きな文字で読み易くして刊行。


さてどんな三国志だろう、演義ベース?正史ベース?誰贔屓?と思いながら、ページをめくったら、1ページ目からまさかの五斗米道(道教の一派。五斗米道の名は、入信時に五斗の米を寄進させたことによる)で「こう来るのー!?」とびっくりした。陳先生流石です。
その五斗米道と当時は新興宗教扱いの浮屠(仏教のこと)の徒、シルクロードを渡ってくる胡人たちや匈奴の思惑が縦軸、いわゆる『三国志』に名を残す人々の軌跡が横軸に物語が展開します。

この作品の群雄たちはどれも人間臭くて好き。気のつかいかたが微妙に間違ってる呂布、戦馬鹿の長男に頭を悩ませる孫堅、自分の代わりに悪企みをしてくれる臣が欲しいと願うナチュラルに黒い劉備、まさかの貂蝉に横恋慕の関羽、そして女のことを考えてるときには「愛らしいほどに」(原文ママ)小さく見えてしまう曹操(もちろん身長が)…面白いなあ、もう。
上巻は黄巾の乱から下邳での呂布の最期まで。正史のどのあたりで物語のエンドマークがつくのかな。

ちなみに五斗米道は現代でも台湾で活動を続けているとか。
後漢末に派生し、三国時代には曹操に帰順したものの、三国の国々の滅亡や各王朝・各政権を興亡を横目に、今尚五斗米道は残る。宗教は根強いのだ。

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