オトノハコ

2009年2月20日 読書
岩岡ヒサエ 講談社 KCデラックス 2008/03/31

「よかった。みんなで作るんだ。」
弱小合唱部に入部した高校1年生・田辺きみ。合唱の恋と青春の物語!!

「変な声」そう言われたことがある。でも、高校入学から毎朝響いてくる歌声が気になってしょうがない田辺きみ。なりゆきで合唱部に入部してしまったけど、ほんとに大丈夫なのか……。声の悩みから恋の悩みまで、弱小合唱部の青春を描いた学園ストーリー。


四人しか居ない合唱部(物語の途中で一人増えます)に入部することになった主人公とその部活動のお話。
ちょっとうまく歌えないだけで自分は部に不要な人間だと落ち込んだり、自分よりも上手に歌える友達に嫉妬したり、出来なかったことを出来るようになったのを褒められて恋に落ちたり、合唱の伴奏をしてくれている男子上級生のことが気になるのに、部の先輩が自分よりも先に彼のことを好きになっていたことを知って「一年ずっと想ってるって大きいな」と一歩引いたり(どうして十代の頃の一年ってあんなにすっごい長いんだろう…)、青春とは些細なことで浮き沈みがちな季節だなあ、と思う。そういう時期をはるか昔に過ぎてきた者としては、登場人物のそういうところがとても可愛らしく思えます。
最終話で部員のひとりは「あたしは今が一番楽しい」と言い、主人公のきみちゃんはコンクールの舞台の上で歌いながら、「ずっとこのメンバーで歌えたらいいのに ずーっと続けばいいのに」という気持ちを抱きます。人生の早いうちに、そこまでのめりこめる何かに出会えるのは、結構幸せなことではないかと思うのです。

背景や建物を含む描線がほとんどフリーハンド?なのに描き込みが詳細で素晴らしい。校舎や教室の、壁や配管、床のタイルにいたるまでが、なんというかリアル。校舎の埃っぽい空気や匂いが伝わってくるような。

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