宮城谷昌光 文藝春秋 2004/10/27

幼い帝を毒殺し政敵を死においやる暗澹たる人物・大将軍梁冀。後漢が生んだ夢魔のような人間をえがき尽す。


後漢という王朝の皇帝たちは、つくづく早死にする人が多いね…。ゆえに幼帝が立てられることが続き、「また外戚か」「また宦官か」という事態に。しかも災害と外敵のコンボでフルボッコ、民涙目、官僚憤死みたいな。
ようやく曹操・孫権・劉備が登場。張角、袁紹や董卓も出てきて、“三国志”の香りがしてまいりました。やけに董卓が剽悍で男気のある格好良い感じに書かれているのが気になるところ。酒池肉林で脂肪蝋燭なイメージが強いだけに、キャリアのスタートは軍人ということは忘れがち。遊牧民の風を感じさせる軍人から極悪非道な権力者になるまでの過程を、どう書いてくれるのか楽しみ。
そして曹操と孫堅は、普通に(普通、というのも可笑しいけど)やがて英雄となる才気煥発な人物といった感じですが、劉備は…なんか…よくわからん…。中身カラッポの方がいろいろ詰め込めていいってことですかね。
黄巾の乱が起こって、董卓が大活躍しそうなところで以下次巻に続く。


以下、地元博物館で特別展として催されていた「大三国志展」感想。
前半三国志の世界紹介、後半後漢~晋代の遺物展示って感じでした。
恐ろしく孔明猛プッシュだった…魏は北伐の相手、呉?何それ美味しいの?ってくらいの勢いだった。戦いに関しては赤壁・五丈原がメイン、黄巾の乱は?虎牢関は?官渡は?樊城は?夷陵は?合肥はーっ!?などなど言いたくなりましたが自重。

三国志パートの方は、様々な名場面を題材にした煙草入れやら壷やら(清代のものが多かったか?)を見てると、愛されてる物語なんだなーとしみじみ思いました。虎牢関の戦いで双剣を手にしている劉備を彫った展示品を見て「拠点隊長…!!」とびっくりしたのは内緒。五丈原のコーナーでは土居晩翠の『星落秋風五丈原』(だと思う)が延々と流れていて洗脳されそうだった。

遺物展示パートは、復元された木牛流馬に盛大に吹いた。あれはない…。一方で定軍山から出土された鏃や撒菱が実在していることに感動。朱然の墓からいろいろ出土(木で作られた名刺まで!)されたものが現存しているのにも感動。だって三国時代って日本で言うなら、弥生時代なワケで…すごいよー。しかし建安文学に言及するなら、曹操の短歌行も一緒に展示してくれればいいのに…格好良くて好きなんだ…。晋代の金印はきらきらしていて綺麗でした。

面白かったです。ただ三国志パートの方はどこからが正史で、どこまでが演義の内容なのかが、自分のような門外漢にはちょっとわかりにくかったのが残念。前述したように呉の配分が少なかったのも残念。朱然の墓の出土品で勘弁してくれって感じなのだろうか…。
あ、横山光輝三国志の生原稿もあった!迫力のあるカラー原稿でした。

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